においをデータで“見える化”―賞味・消費期限の常識を変える新サービスを開始
- 真凜 内田
- 6月6日
- 読了時間: 3分
更新日:6月10日
独自の嗅覚センサーとAI解析技術により、官能評価の限界を超えた科学的な期限設定支援を実現。
食品業界における消費・賞味期限延長の課題解決を支援するため、独自の「匂いの可視化」技術を活用した「消費・賞味期限延長コンサルティングサービス」を開始しました。本サービスは、食品の香りの経時変化を客観的なデータとして捉えることで、従来の官能評価や微生物試験に依存しがちだった期限設定に、より科学的で再現性のある判断材料を提供します。食品ロスの削減、安全性の担保、開発効率の向上を同時に実現する新しいアプローチです。
■背景:官能評価に代わる新たな指標の必要性■
近年、食品ロス削減の社会的要請を受け、消費・賞味期限の延長を目指す取り組みが加速しています。政府によるガイドライン改正案の提示もあり、食品メーカー各社は保存条件の最適化や処方変更などを通じた期限見直しを進めています。
しかし、官能評価には評価者のばらつきや再現性の限界があり、微生物学的試験や理化学試験のみでは香りや風味の微細な変化を十分に捉えることができません。このような背景から、匂いを客観的かつ定量的に評価できる新たな指標の導入が求められていました。
■サービス概要:Obreとiinioi cloudで香りの変化を可視化・比較■
レボーンが提供する本サービスでは、独自開発の匂いセンサー「Obre」と、データ解析クラウド「iinioi cloud」を組み合わせ、食品サンプルの香りの微細な変化を定量化することで、品質の経時変化を客観的に把握します。こうして取得された香りデータはマッピングされ、
原材料や製法の違いによる劣化傾向の比較
保存条件や包装仕様による香りの収束・拡散の傾向把握
官能評価と相関した指標の構築
など、開発・品質管理・期限設定のあらゆる場面で活用可能です。
●実証事例①:製造後の香りの経時変化を“香りマップ”で可視化
ある日用品メーカーとの協業において、製造直後から毎月にわたって同一ロットの正常品の香りを測定・分析する取り組みを実施しました。その結果、以下のような有用な知見が得られました:
各月ごとの香りの変化が明瞭にマッピング
製造初期にはばらついていた香りが、月を経るごとに一定の傾向に収束していく様子を可視化
保存料の有無、加熱処理の有無など、処方条件ごとの違いが香りの動態に反映され、比較評価が可能
このように、人間の嗅覚では感知しづらい微細な変化を可視化することで、科学的根拠に基づく期限設定の支援が現実のものとなっています。

●実証事例②:糠床の品質管理 ~伝統食品への応用~
北九州小倉の「糠床糠炊き研究会」との共同実証では、発酵食品である糠床の経時変化を香りデータとして取得し、劣化状態の客観的評価に成功。香りの数値化が、伝統食品の品質維持や継承においても有効であることが実証されました。

■今後の展望■
レボーンは、「消費・賞味期限延長コンサルティングサービス」の提供を通じて、食品業界における品質管理の高度化を支援し、食品ロス削減という社会課題の解決に貢献してまいります。今後も、香りのデータを活用した新たなソリューションを開発・提供することで、安全・安心な食の提供と持続可能な社会の実現を目指します。
■レボーンのコンサルティング業務■


